minto.通信
2017年07月15日

"生きる力"インタビュー

♯3現役プロサッカー選手・巻誠一郎の活動から紐解く「生きる力」とは?

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支援団体「YOUR ACTION KUMAMOTO」を立ち上げた行動力の源とは?
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「子供たちの夢や希望を応援したい」巻選手の想い
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ファンや子供たちに「生きる力」を与えてくれた巻選手のこれからの目標は?
前回のインタビューでは、2014年に被災した地元・熊本への、巻選手の具体的な支援活動、そして巻選手が被災者の方々について感じた事について教えていただきました。
たったひとりで300箇所の避難所を訪れたという巻選手。その活動のなかで巻選手が大事にされていたのは「一緒に過ごす時間を共有すること」、そして「ポジティブな話をして、その前向きな気持ちを共有すること」でした。(前回の記事⇒こちらをクリック


このインタビューも最終回。
今回は巻選手が立ち上げた被災地支援団体のこと、そして被災地支援活動の“いま・これから”
そして巻選手の「生きること」をさらに掘り下げて教えていただきます。

巻選手が設立した支援団体について–震災からわずか2日で団体を立ち上げた行動力の源とは–

まず僕が支援団体「YOUR ACTION KUMAMOTO」を立ち上げたのは「被災者の皆さん」と「支援するひとたち」をなんとか繋げたいと思ったことがきっかけでした。
物流や交通機関がストップした影響で滞っていた支援物資と、それを求める被災者の方々。また一方で「支援物資を送りたい」という知人や友人からのたくさんの声。それらを聞いてなんとかその想いを繋げたい、という思いで団体を立ち上げることにしました。おかげさまで、当初想定していた以上に多くの人達が協力してくださいました。
そして、大きなパワーになって活動の枠が広まっていきました。

団体設立までかかったのは、震災発生から2日。たった2日?と驚かれる方も多いですが、とにかく時間がなかったのです。だって水がなくて困っている人に「1ヶ月待ってください」なんて言えませんよね。僕たちがやろうとしていたことは、今すぐにじゃないといけないこと。
ですから団体がすぐに動けるように自分の足で銀行に行って、募金用の口座を設立しました。

とにかく、このアクションの根幹を支えていたのは自分が「やりたい」と思う気持ち。どこに行って、何をするか、すべてが自分の意思でした。

巻選手がさらに力をいれていきたい活動–子どもたちの希望・夢を育む–

「YOUR ACTION KUMAMOTO」の活動でいうと、今は被災した子供たちの”夢”をもっと応援していきたいと考えています。地震による財政的な理由や影響で夢を追えなくなる子どもたちが、現状たくさんいます。そんな子どもたちに夢をもう一回持ってほしいし、夢を追いかけてほしい。

口で言うのはすごく簡単ですが、やっぱり人の”心”って簡単に動くものじゃない。だからこそ僕は、そこに時間と力を使いたいと考えています。

今は学校などをお借りしてサッカーのイベントを開催しています。僕はサッカー選手なので、プロサッカー選手としても子どもたちの憧れの存在でありたいと思っています。
僕がそのような存在でいることで、子どもたちは僕がしたことや贈ったもの、それらをしっかり受け止めてくれるはずだと信じています。
そして、将来その時間や経験を通して、次はその子どもたちが他の困っている誰かの”力”になってくれる、そう思っています。


巻選手が支援活動をしていくなかで得た事–「震災が起こっていいこともあったと思える」という手紙–

今まで、震災を通して出会った子どもたちから、たくさんの手紙を貰いました
中でも、「震災後は辛いことばかりだったけれど、巻選手に出会えて、友達ともサッカーが出来るようになった。今は、”震災で辛い経験をしたけれど、嫌なことだけではなく、良かったこともたくさんあった”と思える。」このような内容の手紙は本当に印象的でしたね。

震災は勿論悲しい出来事なのですが、それをただの「不幸な出来事」というだけにせず、「良いことにも出会えた」と前向きに考えてくれたのが本当に嬉しかった。
そんな気持ちを生み出していくことに特化していきたいと考えています。

そして当初は「人の力になりたい」という思いで活動をしていましたが、結局、今は自分に返ってきています。
僕が避難所に行くだけで「会えて嬉しかった」というような言葉に、自分が元気をもらえるんですよね。そんな目的のために活動することが増えました。

巻選手のこれからの目標–サッカー選手として、ひとりの人間として自分が必要とされていること–

僕は自分が”そのチームで求められる存在”であれば、サッカー選手であり続けたいと考えています。もちろん、サッカーをやっているときが一番いろんなことを忘れられるし、楽しいというのは大前提。
自分を必要としてくれているチームで、サッカーを一生懸命やりたいですね。これは今の人生の夢や目標ともいえるのかもしれません。

僕は「自分自身に”価値”をもたせること」を常に考えています。
ファンの方々や、周りの応援してくれている人から自分の存在価値を認めて貰うことがとにかく大事。そんな”必要とされること”を念頭にチャレンジすることで、より挑戦し続ける意味があると思っています。

そのような目標を叶えるため、挑戦し続けるためのパワーの源になっているのは、もちろん家族や子供、そしてサポーターや応援し支えてくれる人たちの存在。それってひとつではないと思うのです。
自分にとって大切なものを見つけて、拾い上げて、集める。一個だとそんなに大きな力にはならないかもしれませんが、自分が求められていることや、自分がこうしたいという思いをたくさん集めて、“生きる力”に変えていきます。


最後に、巻選手が贈るメッセージ『悩みと共に”生きる”ひとたちへ向けて』

僕が一番自分を変えられたと思った瞬間は、やはり自分が今までいた”狭い視野”の中から、抜け出したとき。
悩みは尽きないものですが、そんな時って視野が狭くなっていると思うのです。だからこそ、その環境や考え方だけではないということ、生きる道はたくさんあるということに気づいてほしい。
たとえば、行き詰まったらちょっと旅行に行って、その場所の新鮮な環境に触れてみる。いつも行かない場に行ってリフレッシュするとかでも十分です。
環境を変えてみたことにより、自分を客観的に見ることができて、新たな自分に出会えることもあります。客観的に自分のことを見て”小さな世界”に閉じこもらないで欲しい。

そしてもうひとつ、僕の座右の銘は「努力は人を裏切らない」。
これは高校時代の恩師から贈っていただいた言葉なのですが、この「努力」は”自分が進んできたこと、やってきたこと、つまり「過程」を指す”と僕は思うのです。
正直やってきたことって100%結果に出るわけではないし、うまくいかないこともたくさんある。でも、自分が目標に向かって何かをやってきた事実さえあれば、例えその目標がだめだったとしても、次の道、つまり「また別の目標を目指すときに必ず活きる」と思います。

最後に

いかがでしたか。3回にわたってお届けした巻選手のインタビュー。
巻選手の等身大の気持ちや考え方から、被災地支援活動のなかでの具体的な経験など、あらゆる角度から貴重なお話を聞かせていただきました。
前向きで強いハートを持つ巻選手が悩んで心を閉ざしてしまった時期、そこを乗り越えたこと、それは被災者の方々と震災との向き合い方にも似ているのかもしれません。

●ネガティブなことをネガティブのままとらえないこと
●息詰まったときは、過ごす環境を変えてみる
●努力(やってきた過程)はひと(自分の未来)を裏切らない


minto.は、
熊本地震復興募金「YOUR ACTION KUMAMOTO」
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