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minto発!1話完結、5分で読める小説。
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SNSで起きる身近な出来事が共感を呼ぶ!?
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今回は、思わず涙する!母の”SNS”に隠された真相は・・?
『s.n.s.n〜迷える人達〜』はソーシャルネットワークサービスノベル、すなわちSNSに焦点を当てた短編小説です。

今回は、SNSによって親との限られた時間に気付かされた社会人一年生のお話。

一人暮らし

フリーダム!僕は心の中でそう叫んでいた。
春から社会人、一流とは言えないが外資系の企業で働く事が決まっている僕は、一人暮らしを始めた。
実家から通えない距離ではないが、自由になりたかった。

実家にいる頃は、母から生活の全てにおいて怒られていた気がする。
父親が早くに他界したせいか、母は僕にとても厳しく、言うならば一人で父と母を兼任している様な教育だった。
正直、それが僕には迷惑だった。

しかしやっと解放されたのだ。

これからは本を読みながら御飯を食べても、パンツ一丁でゴロゴロしていても、誰からも注意される事なく自由に暮らせる。
実家には盆と正月、年に2度帰ればいい。

やっと自由になれると思っていたのに・・・

敬遠していたSNSに登録をした。使い方など全くわからないが、社会人にとって必要なツールだと思ったからだ。
自分の情報を入力する為に画面を凝視しながら格闘していると、画面が切り替わりスマホがブルブルと震えだした。
ディスプレイには『母』と表示されている。

「もしもし」

ため息交じりのもしもしだった。

「もしもし?ちゃんとガスとか水道には電話した?引き落としの手続き忘れちゃダメよ?部屋も掃除しなさいよ?あんたはそういうの抜けてるんだから!」
「わかってるよ、あのさあ俺はもうガキじゃないんだから」
「あっ、母さんパートの休憩終わるから、じゃあね!」
「ちょっと!まっ・・・・」

いつもこうだ。母は自分のペースで電話を切る。
一人で暮らすようになってもガミガミ言われていてはたまらない。母の電話には暫く出ないようにしよう。

はじめてのSNS

苛立つ気持ちを抑えながらSNSの登録を終えた。自分の情報を入力すると「友達ではありませんか?」と、身近な人間の情報が出てくる。
同じ中学、高校を卒業した人、友達の友達などなど・・・懐かしい名前を見ていると友達ではない人の情報が出てきた。
友達ではないと一瞬でわかった。
何故なら母の名前が表示されていたからだ。

恐る恐る母の名前をクリックする。サムネイルと言われる画像には僕の幼い頃の画像が貼られてあった。
勝手に使わないで欲しい・・・

タイムラインを追っていくと、父が生きていた頃に家族3人でテーマパークへ行ったときの写真や、僕がアイスクリームを落として泣いている写真などが貼られていた。
不思議な気持ちになった。
ほとんどアルバムの様な使い方をしている母のSNSには一つだけ文字のみの投稿がされていた。

2017年3月24日(金)   寂しいなあ・・・

僕が一人暮らしを始めた日だ。

母のSNS

母の家族アルバムの様なSNSのタイムラインを遡りながら幼い頃の自分と母を見つめる。
目に涙が浮かんできた。そして頭の中に計算式が浮かんだ。

これから母が30年生きるとして年2回の帰省。30×2=60。
これから母に60回しか会えない。60回。毎日顔を合わせていた時期に換算するとたったの2ヶ月。

胸が苦しくなった。

涙が止まらなかった・・・

週末には実家に帰ろう、そしてまだまだ怒られよう。そう思った。

最後に

子供の成長記録にSNSを使用していたお母さんのお話でした。
こんなふうに素敵な使い方もできるんですね。
それを誰でも閲覧できるのが魅力的ですよね♪