小説
2017年07月15日

s.n.s.n〜迷える人たち〜

3・オンラインストーカー

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minto発!1話完結、5分で読める小説。
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今回は「あと一歩の勇気で変わる!」SNSで恋愛が動き出す・・!?
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SNSで起きる身近な出来事に、思わず共感してしまうかも。
『s.n.s.n〜迷える人達〜』はソーシャルネットワークサービスノベル、すなわちSNSに焦点を当てた短編小説です。

今回は身に覚えのある方も多いのではないでしょうか?オンラインストーカーのお話です。

KWM(片思いの私の味方)

彼の生活は私の手中にあると言っても過言ではない。
私は私立の大学に通っている普通の女子、友達も居ないし彼氏なんて皆無。他の学生から見れば空気の様な存在。そんな私でも恋をしている。

大学のキャンパスで彼に一目惚れをしてから一年半、彼とは会話をした事が一度もないけれど、彼の行動はこのスマートフォンからSNSを見れば容易に把握できる。
「『SNS』(ソーシャルネットワークサービス)」、私の中ではもはや「『KWM』(片思いの私の味方)」である。
もちろん彼とは友達登録もしていないし、「いいね!」なんて押した事もない。ただただ彼の日常を覗いているオンラインストーカー・・・
虚しくないと言ったら完全に噓になる。できれば彼と話したい、彼に触れたい。

本当は、私は変わりたい。

友達になる

事件は今日、大学へ行く電車の中で起こった。

充電がギリギリだったが我慢をする事ができず、いつもの様に彼のページをスクロール。
彼のページには地雷が2つある。「友達になる」ボタンと「いいね!」ボタン。
この地雷、踏みたいけど踏めるものなら一年半前に踏んでいる。俗にいうコミュ障の私にとってこの地雷は威力が強すぎる。

電車は川を渡り、次の駅に差し掛かったその時だった・・・急ブレーキがかかり、車内が大きく揺れ、私の指は地雷へと導かれた。
「友達になる」が無情にも押されているのを確認した瞬間に電源が落ちた・・・・・・

あまりにも動揺した私は車内を見渡し、コンセントを探した。あるわけがない。そして神様なんて居ないのだと心の底から思った。

「新着メッセージが1件届いています」

大学に着き、食堂にあるコンセントからスマートフォンを充電した。再起動が怖かった。
再起動するまで頭の中でグルグルと色々なストーリーが展開していた。
もしもブロックされていたら?もしもアカウントを消されていたら?
ありもしない妄想が脳内を駆け巡り、このまま電源なんてつかなければいいのにと願ったときスマートフォンが再起動、さらに『KWM』からの通知音が鳴った。

「新着メッセージが1件届いています」

「ふぇっ!」と出した事もない擬音が口から漏れた。アプリを開く指が震える。幼少期にしたピンポンダッシュが脳裏に浮かんだ。
私は決死の覚悟でアプリを開いたその時、私の背後から
「お疲れっす」
と声がした。

オンラインストーカー

「お前ずっとスマホ見てるよな?」
確かに…。と心の中で思った。友達にオンラインストーカーをしているなんて絶対に言えない。
大学の食堂で仲の良い友人とカツカレーを食べていたが、動揺を隠せずにスプーンは小刻みに震えていた。
片思いをしている相手から友達申請が届いた。それだけ聞けば普通の事かもしれないが、僕にとっては全然普通じゃなかった。
何故なら彼女と僕は会話をした事がない。僕が一方的に彼女のSNSを覗いているだけだ。そんな状況で彼女から友達申請が届いた・・・これは事件だ。完全に事件だ。
しかも動揺していたせいか「お疲れっす」と、訳の分からないメッセージを送ってしまった。
もう一度メッセージを送ろうか迷っていた時、彼女が食堂に血相を変えて入ってきて、一目散にコンセントへと走って行った。

これは偶然じゃない、きっと神様からのプレゼントだと信じ、彼女の元へとゆっくりと進む。

俺は変わるんだ。

最後に

オンラインストーカーは辞めて、実際に声をかけてみれば素敵な結末が待っているのかもしれませんね。
そんなオンラインストーカーさん達の背中を押すお話でした。