小説
2017年10月21日

s.n.s.n〜迷える人たち〜

12・天国からのSNS

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minto発!1話完結、5分で読める小説。
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SNSで起きる身近な出来事に思わず共感してしまうかも。
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今回はおばあさんのお話。
拗ねている訳ではない。私はただ、古き良き時代を知ってほしい、そう思っていた。

恋文

私は今年で75歳、所謂おばあちゃんだ。
最近の電子機器の進歩は凄まじく、便利さに拍車をかけている。ただ私は若い人達が持っているスマートフォンを持とうとは思わない。

今の若者は恋文を書いた事があるのだろうか?メールという便利な機能があるおかげで、筆を持つ事が少なくなったのは確かだろう。愛しい人に思いを告げる為、下書きをし、納得のゆく文字が書けるまで何度も書き直しをしたものだ。ポストに恋文を入れる時、ポストよりも顔が赤くなっていたのを覚えている。その恋文を旦那はずっと大事に持っていてくれた。おじいさんになってもずっと。きっと天国でもたまに読んでくれているだろう。

カメラ機能と思い出

スマートフォンにはカメラもついているらしい。写真屋に現像しに行く事もなく、直ぐに撮ったものが見られる。便利だがそれに価値はあるのだろうか?
私は綺麗な景色を目に焼き付けてきた。今でも旦那と見た鎌倉の夕焼けを、あの時の気温や風、海の香りと共に思い出す事ができる。ぼんやりとだが、それが良いのだ。

そんな事を考えていたら、じいさんに無性に会いたくなった。仏壇に手を合わせる。仏壇の中にあるじいさんの笑顔はぴくりとも動かない。

SNS??

「何をしているんだい?」

「動画撮ってるの!SNSに載せて良い?」

聞いたことのない言葉が出てきた。

「SNS?」

「うん、動画とかをね、載せられるの!で、みんなが観れるんだよ!みて!おじいちゃんと遊んだ時の動画も載せてるんだよ!」

それぞれの時代

じいさんが動いていた。

私は思わず孫からスマートフォンを取り上げる。孫とパズルを楽しんでいるじいさん。じいさんはもう居ないけれど、この小さな画面の中で生きている。

目頭が熱くなる。

私は思った。
それぞれの時代に良い物があり、色々な形で思い出は形成されるのだと。

私がスマートフォンを持ったら、あんたは笑うかい?じいさん。


最後に

それぞれの時代に良い物がある。

時代に合った形で思い出を保存したいですね。