小説
2017年10月14日

s.n.s.n〜迷える人たち〜

11・初恋とSNS

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minto発!1話完結、5分で読める小説。
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SNSで起きる身近な出来事に思わず共感してしまうかも。
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今回は、甘酸っぱいお話。
日曜の昼下がり、仕事以外の日は家でゴロゴロしている僕。ソファーに横になりながらSNSを見るのが日課だ。

知り合いではありませんか?

SNSの機能で、知り合いではありませんか?と自分に近い人間のプロフィールを表示してくれる便利なものがある。同級生や、職場の人間、色々提示してくれる。

いつもの様に「知り合いではありませんか?」のリストを流し見る。スマホをスライドする僕の指が止まる・・・
僕の初恋の人が現れたからだ。

プロフィールとタイムラインを覗く。自分の娘の動画を投稿している。

初恋。

僕の初恋は遅かった。中学3年生の頃、体験したことのない感情が押し寄せ、戸惑ったのをよく覚えている。

僕と彼女は同じ陸上部だった。僕と同じ短距離のランナーだった彼女の走行フォームは実に綺麗で、常に見とれていた。明るく、クシャッと笑う笑顔が大好きだった。

県大会の日、僕は決めていた。この大会で僕が優勝したら彼女をお祭りに誘うと・・・。
恋のエネルギーは凄まじいもので、未だに僕の県大会での記録は破られていないらしい。あのウサインボルトも誰かに恋をしているのではないかと馬鹿な事を考えてしまった。

お祭りの日、僕は心臓が飛び出るほど緊張していた。
人間は欲張りなもので、一緒にお祭りに行けるだけで充分なのに、花火を見ながら告白しようと考えていた。

告白

彼女の浴衣姿はとても綺麗で、世界中の人に見せたいと思った。彼女の浴衣姿を見たら戦争なんてきっと無くなる。

夜空に大輪の花が咲く。僕は思い切って想いを告げた。返事を待っている時間が永遠に感じた・・・

彼女の口からは想像もしていない言葉が出てきた。彼女は来週から遠く離れた土地で生活をすると、そして僕と会えるのは今日で最後だと・・・
僕はフラれる事さえ出来なかった。

夜店が店じまいを始める頃、彼女はクシャッと笑い、去っていった。

甘酸っぱい思い出だ。

クシャッと笑う。

僕はソファーから立ち上がり、台所で洗い物をする妻を見つめる。
妻はあの祭りの日を覚えているだろうか…

SNSを始めたなら言ってくれればいいのに。

スマホの中の僕の娘がクシャッと笑った。

最後に

SNSは色々な思い出を蘇らせてくれますね。

初恋の人を妻にした今回の物語の主人公、憧れちゃいます・・・。