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minto発!1話完結、5分で読める小説。
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SNSで起きる身近な出来事に思わず共感してしまうかも。
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今回は、単身赴任中のお父さんのお話。
単身赴任をして早3ヶ月。
寂しくないと言えば嘘になる。

日常

仕事が終わりスーパーへ。最近は食材を買い過ぎる事もなくなった。特売品で献立を考えるという技も身についた。妻は毎日こんな作業をしていたのかと思うと頭が下がる。
質素な食事が終わると、ニュースを流しながら洗い物をする。世界は荒れているが、そんな事より食器用洗剤を買い忘れていた事に落ち込む。世界に兵器が溢れているのならば、この寂しさをご自慢の凄まじい威力で吹き飛ばしてほしい。

そう思った。

リュウ

娘とのビデオ通話は最初の1ヶ月で無くなった。それよりも受験勉強に集中したいそうだ。
父親なんてこんなもんだろう。俺は何故辛い思いをしながら働いているんだろう。
そんな思いが頭をよぎる。

ペットでも居たら少しは楽かもしれない・・・。しかし動物は飼わないと決めていた。2年前に飼っていた柴犬「リュウ」が亡くなって以来、もうあんなに悲しい気持ちにはなりたくないと、動物を飼う事への恐怖心が芽生えていた。

「リュウ」にはいつも元気をもらっていた。仕事がうまくいかず落ち込んでいると、それを「リュウ」は察し、ペロペロと顔を舐めてくる。俺は「リュウ」に何をしてあげられたのだろう。散歩だってもっと連れて行ってやればよかった。もっとおやつをあげれば良かった・・・そう思うと胸が苦しくなる。

「リュウ」に会いたい、せめて動いている「リュウ」が見たい。

SNS

頭を働かせる。

SNSだ。

娘はSNSをやっている、そして「リュウ」の動画を沢山撮っていたはずだ。
スマホを乱暴に操作し、娘の名前を検索する。やましい事をしている様で少し気が引けたが、タイムラインを遡る指は止まらなかった。

ありがとう

予想通り娘は「リュウ」の動画を上げていた。

コメントも共に載せていた。込み上げるものを抑えることができなかった。

動いている「リュウ」が自分とじゃれあっている。「リュウ」に服を引っ張られ破れてしまった時の物だ。娘の笑い声がとても印象的だ。

「遠い所で頑張っているお父さんに感謝!絶対合格!!」

と添えられていた。

静寂に包まれた部屋の中に自分の嗚咽だけが響く。

俺はまた「リュウ」に救われた。

明日がどんな日であろうと構わない、頑張るだけだ。

ありがとう、「リュウ」。

最後に

動画を投稿できる便利なSNS、思い出はどんどんアップして共有したいですね。

そうすれば今回の様な素敵な事が起こるかもしれませんね。

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