小説
2017年08月31日

s.n.s.n〜迷える人たち〜

8・インスタ映え

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minto発!1話完結、5分で読める小説。
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今回は、インスタ映えにこだわる女子のひとコマ。
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SNSで起きる身近な出来事に思わず共感してしまうかも?!
私は日々、インスタグラムの『いいね!』に元気をもらっている。

悲劇の始まり

その日の『いいね!』の数によってテンションが変わってくるほど、重きを置いている。
いいね!を獲得する為に重要なのは、インスタ映え。私はこれに命をかけている・・・

仕事が終わり、帰宅。晩御飯を作る。もはや食事は食べる為というよりも、インスタに上げる為に作っている気がする。よって自然と彩りの良い物を作る事にしている。
しかし、今日私はどうしても炊き込みご飯と鳥の唐揚げが食べたかった。

これが悲劇の始まりだった。

唐揚げ、味噌汁、炊き込みご飯をテーブルの上に並べる。写真に収めるが、全く気に入らない。全体的に茶色すぎる。お洒落な木製のテーブルもそれを助長する。画像にフィルターをかけるも茶色は茶色だ。これはいかん。
急いでレタスを切り、唐揚げの下へ入れる。少し緑は足されたけれど、これでは枯葉の中に迷い込んだ若葉だ。圧倒的に色が足りない!インスタマスターなめるなよ、と心の中で叫ぶ。「そうだ、足りないのは赤だ。」私はキムチを買いにコンビニへ走る。心の中で沸々と湧き出る「何してんの?私。」をかき消しながら・・・。

三原色

唐揚げの横にキムチを並べる。よし、少しまともになってきた。しかし足りない色がある。緑、赤と来たら、光の三原色・・・黄色だ!!
そんなこともあろうかと私はパイナップルを買ってきていたのだ。キムチの横にパイナップルを添える。彩りはまずまず・・・だけど・・・
何この料理!!!彩に気を取られ冷静を欠いていた・・・。
唐揚げにキムチ、パイナップル・・・こんな料理は存在しない。

酢豚

空腹も限界を迎えた時、パイナップルを救う奇跡のワードが脳裏に浮かんだ。そう、酢豚だ!!私はスーパーへ食材を買いに走った。時速30キロは出ていた気がする。
料理教室に通っていた私は酢豚くらいはお手の物、ちょちょいと作りテーブルへ。これでパイナップルも違和感は無いだろう・・・しかし・・・

何この量!!20代女子が1人で食べる量ではない!!!
私はその場に倒れ込み、
「おのれ!!インスタグラム!!」
と、幾度となく叫んでいた。

すると、インターホンが鳴った。ドアを開けてみると隣人が心配そうな顔で私を見ている。
「あの、叫び声が聞こえましたが何かありましたか?」

迷惑をかけてしまった。理由など話せない・・・インスタグラムのせいなどと口が裂けても言えない。

「すみません、足の指をぶつけてしまって」
と言い訳をし、帰ってもらった。

私は静かにインスタグラムを退会した。

最後に

便利で楽しいSNS。
しかし、自分の生活が振り回されないように気をつけたいですね。