小説
2017年08月26日

s.n.s.n〜迷える人たち〜

7・バランス

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1分で読める!minto発の短編小説!
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今回はOLの通勤途中、心の葛藤のお話。
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SNSで起きる身近な出来事に思わず共感してしまうかも!?
通勤電車でSNSを見るのが私の毎日の日課。暇つぶしで見ているはずなのに、心が大きく揺れ動く時がある。

8時02分

同僚の美鈴は毎朝自分の寝ぼけ顔を添付し、「眠いなう」と呟く。至極くだらないツイートだ。可愛い自撮りって訳でもなく、変顔って訳でもない、ただの寝ぼけた顔。毎朝毎朝何の意味があるというのだろう。
とある芸能人が不倫したとのニュース。関係の無い人からの心無いリプライが飛び交う。ここぞとばかりに群がる人々、まるで飴に群がる蟻のよう。そしてまた誰かが飴を落とすのを待っている。
あたかも自分が不倫されたかのように騒ぎ、鋭利な言葉をぶつけ、反省を求める。この人達は自分の友人が間違った事をした時にこんなにも心無い言葉をぶつけるのだろうか?

心がざわざわする。

8時12分

電車は川を渡りトンネルをくぐる。誰かの携帯が大きな音で着信を知らせる。

「もしもし?うん、もうすぐ着くから、え?まじ?」
と大きな声で話し始める若者を見て
「周りの迷惑考えろよ、常識ねえなあ!」
と注意するサラリーマンのイヤホンから大音量の音楽が漏れている。優先席でお年寄りに席を譲る学生、席を譲られたお年寄りは優先席で携帯電話をいじっている。電車は目的地へと進んでいく。

8時23分

目的地の一つ手前の駅で痴漢騒ぎがあった。「やってない」と連呼するサラリーマン、「嘘つけ!」と大声で叫び散らすギャル。あのサラリーマンが本当に痴漢したかなんてどうでもよかった。ただ、どうでもいいと思う私の事は何だか許せなかった。

何が正しくて何が間違っているのか・・・

8時30分

会社の最寄駅へ電車が到着した。大勢の人に背中を押され、流れるように電車を降りる。子供が押されて転んでしまった、しかし気にせず目的地へ急ぐ人々・・・
私は気分が悪くなってしまい、ホームのベンチに腰を下ろす。

会社までの通勤時間、ほんの数分の間に善と悪が飛び交う。

気持ちが収まるまでの間、SNSを開く。

「眠いなう」

同僚の美鈴のツイート、あまりにも拍子抜けしたその顔に思わず吹き出してしまった。

まさか自分が「眠いなう」に癒されるとは思わなかった。

やっぱりそうだ・・・世の中は色々な所で『バランス』が取れている。

最後に

SNSを見ていると心が動かされることが多いですが、多種多様な情報でバランスが取れているのかもしれませんね。